心穏やかに生きていきたい。

60代後半、なぁ〜んにも無い日々の中にささやかな何かを見つけて綴って行きます。

母の命日

今日は母の命日です。


亡くなって30年が経ちました。



胃がんでした。


市の健康診断で引っかかり、再検査をしたのが9月でした。


手術をしましたが、その時に「年は越せないでしょう」と医者に言われたそうです。


父はガンであることも、余命の事も母には言いませんでした。


それどころか、私や兄達にも何も知らせず

手術から、後の付き添いも一人でしていました。


一時的に、退院できそうになるくらい元気になりましたが、

余命4ヶ月の “ 時 ” はその期待をも奪い

12月に入ると痛みに苦しむようになりました。


そこで初めて父は私に、母がガンで、後ひと月の命だと

電話で打ち明けてくれました。


母は、退院できると信じていたようで、

全てが終わってから子供達に知らせたらいい、

それまでは心配かけるから言わないで、と父に言っていたらしいです。


その時3歳だった息子を夫の実家に預け、(小学生の娘たちの面倒は夫が見てくれました。)

私は父と一緒に母の病室に泊まり込みました。


そして2週間後、それまでの痛みが嘘のように、

静かに眠るように逝きました。


61歳でした。


次兄は、母や私達子供にも何も知らせず

全て一人でやろうとした父に、不満をぶつけました。


確かに手術をする時、みんなで話し合えば

別の選択肢が有ったかもしれません。


そうすれば、残された4ヶ月を

病院のベッドで過ごす事も無かったかもしれません。


でも、その4ヶ月間、父は病室に泊まり込んで

痛みに苦しむ母の姿を、一人見ていたんです。


誰かに打ち明けたら楽になっただろうに、

時には耐えられず、トイレで泣きなから吐いていたそうです。


その4ヶ月で父は10キロも痩せていました。


私達には、そんな父を責める資格などありません。


私では、父以上のことは、してあげられなかったと思います。


母は幸せだったと思います。


まだ意識が有った時に

「生まれ変わってもやっぱりお父さんと結婚したい」と言ったそうです。


その言葉に父も救われたと思います。


30年!私はとっくに母の歳を越えてしまいました。


私は最期の時に何を、そして誰を思うのかな。



最後までお読み頂き、ありがとうございました。