家の灯り
暗くなって家路につく時、家々に灯る明かりに
そこには幸せな家族がいると思う。
10代の頃からそうだった。
窓から眺める家々の明かりを見ても
そこに幸せな家族がいる様に思った。
家々の明かりの下全てに
暖かな団らんが有り、幸せな家族が居るはずは無いのに、
何故か、自分より幸せな家族がそこにいる様に思えた。
決して自分が不幸だった訳ではなく、
きっと満たされて無かったんだと思う。
そして自分が夫と子供3人と、テーブルを囲むようになった時、
それが当たり前の毎日の繰り返しで、ただ、ただ時間に追われ、慌ただしく済ませていたし、
早く5人分の食事の用意から、開放されたいと思っていた。
今、夫と2人だけの、会話の無い、静かな食卓。
今となっては、やり直す事の出来ない家族の団らん。
こう思うと、失われた時が悔やまれる。
永遠に続くように思えた事が、振り返ってみるとほんの少しの時間だった。
その時間を、もっと大切にすれば良かった。
娘が食事の支度が苦痛だと言った。
そうだと思う。
毎日フルに働き、夜勤まである。
しんどかったら、たまにはお総菜やお弁当を買って来てもいいと思うよ。
みんなで楽しく食べる事が大切だよ、と伝えた。
上の孫も今度中学生、塾だ、クラブだと家族そろってご飯を食べる事も減って来るだろう。
大変だろうけど、“ 今 ”を大切にして欲しい。
そんな事を思い、夕暮れ窓から見える家の明かりに
何とも言えない寂しさを感じた。
最後までお読み頂きありがとうございました。